
こんにちは。
グラフィックデザイナーのチュー太郎です。
デザイナー8年目くらいです。
たくさん転職してきましたし、デザイナーを辞めようか何度悩んできました。
そんな時に読む本があります。
デザインの悩みを解決する。というよりは、デザインに悩みながらもデザイナーとしてやってみる。



そんな気持ちにさせてくれる本です。
デザインの仕事って、悩みますよね。辛いですよね。でも好きなんですよね。
良いものを作りたいけど、考えれば考えるほど、
「“デザイン”ってなんなんだろう…」という気持ちに苛まれることがよくあります。
自分はデザイナーに向いているのだろうか。
これからもデザイナーを続けていくのだろうか。
良いデザインをしたいと思う反面、思うようにいかない。そんな苦しさや迷い。
そんな気持ちを抱えつつもいろんなデザイン書を見てみたり…雑誌を見てみたり…を繰り返していたときに出会った本。
「デザイナーを辞める」をやめる。のきっかけになった本です。
買ってから数年たちますが、定期的に読み返す本です。
バイブルと言える本です。
(出版は2012年でした。もう8年も前の本なんですね。)
絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える
「わかりやすい」デザインを考えるというコピーまでは普通のデザイン書。
白バックに赤のみでとてもシンプルなのに、
シュールなイラストと個性的な文字が印象的です。
そして
正直、わからなくなってきました。
このコピーを見て、思わず手に取ってしまいました。
こんな、本とか出版するようなすごい人でも、「わからなくなる」ことがあるの?と。
著者は寄藤文平さん
アートディレクター、グラフィックデザイナー、イラストレーターの寄藤文平さん。
名前でピンとこなくても作品を見れば、あ〜見たことある!!となる人が多いと思います。




ゆるくて親しみやすく、しかもめちゃくちゃユーモアのある作品ですよね。
「はじめに」から共感の嵐
もともとが、デザイナーをやめようかと考えて、この本を作りはじめた。
デザインの本でこんな言葉からはじまる本があるだろうか。
そしてさらに続きます。
デザイナーをやめたいといっても、仕事をしたくないということではない。
なんとなくデザインの世界に息苦しさを感じていて、そこから抜け出したいのである。
こんな大物デザイナーとお前みたいな弱小デザイナーの悩みが同じなわけないだろ!!
と聞こえてきそうですが、スケールは違えどデザイナーなら誰しもが同じ気持ちを抱えているはず!
「デザインが好きなのに辞めたい」というジレンマを抱えながらもデザイナーを続けている人の貴重な声。
デザインの基本であり全てがフランクに凝縮されている
本文に入ると寄藤さんのエピソードが描かれています。
読めばわかると思いますが、文章がかなり読みやすいです。
「デザイン」をするためには情報や思考の整理整頓が必要ですが、著者の寄藤さんはその能力に長けている方なんだなと感じます。
整理した情報をわかりやすくアウトプットして人に伝える。
それがデザインだ。と、この本の全てからそれが伝わってきます。
第4章では装丁を題材にデザインの考え方が描かれています。
どういう思考で案を出しそのデザインにするか。
「わからなくなっているとき」に「あ、こうやってデザインを考えるんだ」というヒントをくれます。
悩むこと自体がデザインなのかもしれない
デザイナーといってもピンキリ。
いろんなデザイナーがいるけどみんなデザイナーだし、
デザインに抱える根本的な悩みは同じだと思っています。
デザインの良い悪いに正解はない。
目的によってデザインに求められることも違うから。
ある場所で正解だったデザインが別の場所では不正解。
それが当たり前だし、それでこそデザインの役目を果たしているということだと思います。
だからこそデザイナーは悩みますよね。
そんな葛藤を受け入れながらデザインを続けるデザイナーに読んでほしい。
そんな本でした。